ピルを服用したら血栓症の確率が上がるって本当?
血栓症になったらどんな症状がでるの?
ピルによる血栓症の確率を減らす方法を知りたい。
ピルは、避妊やPMSの症状を和らげたいなど利用する目的はさまざまですが、女性にとってメリットも多いため、服用する人が増えています。
しかし、ピルには便利な点ばかりでなく、服用することで血栓症の確率が上がると言われていて注意が必要です。
本記事では、ピルによる血栓症の確率はどの程度上がるのか、知っておくべきリスクについて解説していきます。
ピルの服用を考えていて、副作用の血栓症が心配な人は、最後まで読んで参考にしてください。
ピルによって血栓症の確率は少しだけ高くなる
結論から言うと、ピルを服用すると血栓症のリスクは高くなります。
しかし、高くなるといってもほんの少しだけなので過度な心配はありません。
それを踏まえた上で、ここからは血栓症とはそもそも何なのか見ていきましょう。
血栓症とは
血栓症は、血液中に血のかたまりができ、血管が詰まると引き起こってしまう病気のことです。
血液が正常に届かなくなることで臓器の機能が下がった場合には、さまざまな症状が引き起こされます。
低用量ピルを服用した場合は、血栓症の1つ「静脈血栓症」が起こる可能性がでてきます。
静脈血栓症と聞いても、ピンとこない人もいるかもしれませんが、よく耳にする「エコノミークラス症候群」もその1つです。
飛行機で席が狭いエコノミーで、同じ体勢を続けると血液が停滞して、血栓症を引き起こしやすくなります。
血栓症になる確率が上がる理由
ピルを飲むことで、血栓症になるリスクが上がるのは何故なのか理由を見ていきましょう。
ピルには「エチニルエストラジオール」という卵胞ホルモンが含まれており、このエチニルエストラジオールに血液が固まりやすくなる作用があります。
本来なら、卵胞ホルモンが血液を固まりやすくしても、他のホルモンとのバランスにより血液を固めるのを防いでいるんです。
しかし、ピルを服用することでそのバランスが崩れてしまい、血栓症のリスクを高めると言われています。
血栓症になりやすい人の特徴
血栓症になりやすいタイプには、いくつかの特徴があり、以下の項目に当てはまる人はピルの服用が禁止されています。
- 35歳以上で1日にタバコを15本以上吸う人
- 乳がんにかかっている人
- 初経がきていない人
- 50歳以上で閉経している人
- 重度の高血圧の人
- 血栓性素因を持つ人
- 血管に異常がある糖尿病の人
また、以下の項目に当てはまる人は、医師の管理のもとで慎重に服用する必要があるので、当てはまる方は服用前に医師に確認するのがおすすめです。
- 喫煙する人
- 前兆を伴わない片頭痛がある人
- 肥満の人
- 授乳中の人
- 40歳以上の人
- 軽度の高血圧の人
ピルの服用を考えている人は、自分に当てはまる点はないか事前に確認しておくようにしましょう。
ピルによる血栓症について知っておくべきこと3選
ここまで、ピルによって血栓症になりやすい理由について解説してきました。
ここからは、ピルによる血栓症で事前に知っておくべきポイントを解説します。
- ピルによる血栓症の確率を減らす方法
- 血栓症になりやすいタイミング
- 血栓症になったときの初期症状
1つずつ見ていきましょう。
ピルによる血栓症の確率を減らす方法
ピルによって引き起こされる血栓症のリスクを減らすためには、以下の方法を行うと効果的です。
- 喫煙をやめる
- 肥満を改善
- 運動不足を解消する
- 水分補給する
なかでも「水分補給」をすることは、大きく役立つので日常生活でも意識しておくといいでしょう。
体内の水分が減ると、血が固まりやすくなってしまうので、こまめに水分を補給するのが効果的なためです。
しかし、水分補給する際にアルコールを摂取するのはやめておいてください。アルコールには利尿作用があり、水分不足になる可能性があるからです。
これらのことを日頃から意識して生活し、血栓症の予防をしておくと、健康の見直しにもなっていいでしょう。
血栓症になりやすいタイミング
血栓症が起こりやすく注意しておくべき時期は、服用開始から3〜4ヶ月以内の期間です。
この期間は、体に変化がないか気をつけながら慎重に服用する必要があります。
半年以上服用しても何も問題がなければ、その後に血栓症が発症する確率はかなり下がるので安心していいでしょう。
一度ピルの服用をやめてしまうと、再び始めたときのリスクは、ピルを飲み始めたときと同じになってしまうので注意してください。
血栓症になったときの初期症状
血栓症になったときに起こる症状がいくつかあります。
以下の症状があらわれだしたら、血栓症を発症していることも考えられるので注意です。
- ふくらはぎの痛み、むくみ、赤み
- 激しい胸の痛み、息苦しさ
- 腹痛、頭痛
- 舌のもつれ、喋りにくさ
- 目がかすむ
これらの症状を感じたら、すぐにピルの服用をやめて医療機関に相談するのをおすすめします。
その際は、ピルを服用していることを必ず伝えるようにしましょう。
まとめ|ピルによる血栓症のリスクを知って正しく服用しよう
本記事では、ピルによる血栓症の確率や予防法などを詳しく見てきました。
ピルを服用することで、血栓症を引き起こすリスクが少し上昇します。
もし今ピルの服用を考えている人で、血栓症になりやすい人の項目に当てはまる場合は、服用できないかもしれません。
医師の管理の元でなら、ピルを服用することが可能かもしれないので、まずは医師に相談してみましょう。
女性の悩みを和らげてくれるピルですが、血栓症になるリスクをよく理解してから、安全に利用するようにしてください。
本記事は、日本形成外科学会、日本美容外科学会(JSAS及びJSAPS)所属のアモーレクリニック院長鈴木秀明医師の監修のもと、内容の正確性や信頼性を確認しています。